1999/ 8/14


DXFファイルの基礎知識

普段DXFファイルを使う機会と言えば、他のCADとデータを交換したり、作図機能のあるソフトで図面をファイルとして書き出したりするときでしょう。
そのため、DXFファイルはCAD共通のファイル形式であると、誤解している人もいるようです。
まず、はっきりと申し上げておきますと、DXFファイルは異なるCAD間で、CADデータを交換するための中間ファイル形式ではありません。
DXFファイルは、オートデスク社という一企業が作った、AutoCADのためのファイル形式です。

AutoCADにはDWG形式というファイル形式があるのに、なぜもう一つ別の形式があるのか、疑問に思われるでしょう。
ソフトウェアはバージョンアップによって、ファイル形式も変更されます。旧バージョンにはなかった機能なども、保存する必要があるからです。
これを旧バージョンで開こうとすると、未知の情報が含まれているため、普通は「開くことができません」というメッセージが出て、拒絶されることでしょう。
DXFファイルは、未知の情報があった場合、その部分を読み飛ばしても、全体のつじつまが合うような構造になっています。読み飛ばした情報は、当然抜け落ちてしまうことになりますが、それでも取りあえずは、旧バージョンで新しいファイルを開くことができる、そういう目的で用意されたファイル形式です。

AutoCADには、様々のバージョンがあります。それに合わせて、DXFファイルにもいくつかのバージョンがあります。
最近のAutoCADは、下位バージョンのDWG形式で保存することもできるようになっていますが、それだけでは対応できないバージョンに対して、DXFファイルが役に立つこともあります。

DXFファイルには、もう一つの特徴があります。
DXFファイルはテキスト形式で書かれているので、メモ帳のようなテキストエディタで開くことができます。(大きなファイルはメモ帳では開けませんが)
しかも、ファイルの構造は、全て公開されています。
今は有料になっているようですが、以前のAutoCADにはDXFの詳細なマニュアルが標準で付いていました。
ファイル構造が明らかになると、どんなことができるでしょうか?
例えば、私は、車両の軌跡図や、道路の線形を計算するソフトを作って仕事に使っていますが、計算結果をDXF形式で書き出すことで、図面に使うことができます。
DXFファイルの構造は難しいことはないので、私のような素人のプログラマでも、根気さえあれば作ることができます。

CADソフトメーカーは、これを異なるCAD間でデータを交換するための、中間ファイル形式として利用しました。
先に申し上げたように、DXFファイルは、他のCADのことは考えて作られていないので、中間ファイルとして使うには無理が有ります。
しかし、DXFファイルには3次元データも扱えるため、3DソフトまでもがDXF形式をサポートするようになってきています。


(C) Yoshiyuki Inaba 1999

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