1999/ 7/24
2001/ 6/22
CGソフトや図形ツールには、グループ化と言って、複数の図形を1つにまとめてしまう機能があります。
グループ化すると一部分を触っただけで全体が選択できるので、コピーや移動が楽になります。
Auto CADでもLT98からグループ化ができるようになりました。
Auto CADのブロック化というのは、グループ化とは少し違います。
図形をブロック化すると、画面から消えます。それはその図形がブロックとして登録され、一般の図形ではなくなったためです。
画面からは消えますが、図形はちゃんと見えないところに登録されています。
ブロックを挿入すると、ブロック本体が挿入されるのではなく、ブロックのインスタンスが挿入されます。
インスタンスには元の図形の情報は含まれていません。挿入された位置やレイヤー、挿入時の尺度、傾きなどの情報があるだけです。
インスタンスという言葉が、マニュアルにもいきなり出てきますが、一般ユーザーには聞き慣れない言葉です。プログラムの勉強をすると、お目にかかることになりますが、プログラミング用語というわけではなく、CGソフトでも日本語に訳さず、そのまま使っているようです。
同じような性質(形も含めて)を持つオブジェクトは、それを使う時に毎回同じ定義をするよりは、マスターとなる親オブジェクトを1回だけ定義しておいて、実際に使うのは親の性質を継承した子オブジェクト(インスタンス)にしたほうが都合が良い場合が多いのです。
何か変更があった時には、マスターを修正します。すると、その変更は挿入されているインスタンス全部に反映されます。
個々のインスタンスに独自の変更を加えたい時もありますが、Auto CADではそれはできません。インスタンスを修正したい時は、分解して通常の図形に変換してやる必要があります。
こうするとマスターとの繋がりは切れてしまい、もう戻すことはできなくなります。
3Dソフトでは、似たようなオブジェクトは、できるだけインスタンスを使います。
インスタンスではなく、通常のオブジェクトのままコピーすると、データ量がいきおい増えてしまい、最終的にレンダリングする時の時間もかかるし、作業中の表示速度にも影響します。
インスタンスを使うと、画面移動などの描画速度が早まるものですが、Auto CADでは通常の図形のコピーのほうが早いようですね。
配筋図を描いた時に、鉄筋の断面(私の回りでは丸ポチと呼んでいます)にブロック挿入を使ったことがありますが、動きがものすごく遅くなってしまい、閉口したことがあります。
マスターとなるブロックは、通常0レイヤーに描きます。
色や線種は「byblock」にしておきます。
書き上げた図形を選択し、「BLOCK」コマンドをタイプします。オブジェクトの選択は後でもかまいません。
後はブロンプトに従い、ブロック名や挿入基点などを決めます。
挿入基点はインスタンスを挿入するときの基点になるものです。そのブロックをどのように使うかによって決めると良いでしょう。
挿入基点が適切に決められていると、後々役に立つことがあるでしょう。
例えば、道路端に設置されるU字溝は、その肩を挿入基点としておくと、U字溝の大きさに変更があったときにも、位置をずらす必要がありません。
Auto CAD LT では、「BMAKE」というブロック定義のためのコマンドがあります。
メニューからブロック定義を選んだ場合は、このコマンドが呼び出されます。
「BLOCK」コマンドでは全てコマンドラインでの操作になりますが、「BMAKE」コマンドはブロック定義のためのダイアログボックスが開かれます。
「BMAKE」コマンドでブロックを作った場合、挿入基点に誤差が生じるバグがあるということが知られています。
インスタンスを挿入すると、挿入した位置から僅かにずれるということがあります。
Auto CAD 2000iではBLOCKコマンドでダイアログが出ますね。コマンドラインで操作したければ、コマンドの頭に-(マイナス)を付けて「-BLOCK」とタイプします。
ダイアログボックスからのブロック定義では、いくつかのオプションがありますね。
これは説明しなくてもいいですよね。
実際に試してみて下さい。
私が使っているCGソフトでは、マスターをダブルクリックして編集ウィンドウで編集するか、直接マスターを編集するだけで良いのですが、Auto CADではマスターは見えないところに登録されているので、そうはいきません。
実はAuto CADでは、マスターを編集することはできません。
マスターに変更を加えたい時は、新たに図形を同じブロック名で再登録します。この時、挿入基点の位置が同じになるように気をつけて下さい。
同じブロック名で再登録すると再作図が行われ、挿入されているインスタンス全部に変更が反映されます。
ブロックの挿入はLT97以降でしたら、コンテントエクスプローラを使った方が簡単です。
Auto CAD 2000 以降でしたら、Design Center です。
コンテントエクスプローラでは、ブロックの概略の形がアイコンで見ることができるので、ブロック名を覚える必要がなくなります。
他の図面に定義されているブロックまで、挿入できるのも便利です。
良く使うブロックは、同じ種類のブロックだけを集めたファイルを作り、タブに登録しておくと、いつでも使える部品になります。
コンテントエクスプローラからドラッグして挿入した場合、1分の1の尺度で挿入されます。
アイコンをダブルクリックした場合は、インサートコマンドを呼び出した時と同じになります。
ブロックが0レイヤーで作成してあり、その時の色や線種がBYLAYERまたはBYBLOCKで書かれていれば、挿入したレイヤーの設定が適用されます。
挿入する際、尺度の値をマイナス値にすると、鏡像として挿入されます。